濱田建築事務所に設計監理を依頼して住宅を建築する場合いくらかかるのですか?という質問が多く寄せられます。一生に一度の大きな買い物になりますので、建築を考えられる方は皆心配されるところだと思います。また「建築家と一緒に住宅をつくるなんてすごいお金がかかるんじゃないの?と思われる方も多いと思います。ここでは木造住宅を例に挙げ、住宅を建築する際に掛かるコストについてご説明させていただきます。
※木造2階建て床面積115㎡(35坪)平坦地で敷地150㎡(45坪)程度の住宅を想定。住宅における建築工事費は大まかに分類して下記の4項目となります。
1、建築費
どのような住宅でもかかるコストとして、基礎、構造、断熱、下地材、サッシや建具、仕上など安全に住める箱をつくる基本性能にかかる費用があります。 特殊な構造でない場合、約450,000万円/坪程度の費用が掛かります。(※仕上等のグレードを上げればコストも上がります。)
2、設備費
上記だけではただの箱ですので、住宅として機能させるため設備機器などを設置する費用が必要になります。こちらは1の建築費と違い、建築主さんの要望により大きく差が開きます。
一般的な設備(キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ、照明機器やエアコン、換気扇など)で100,000円/坪程度ですが、機器のグレードを上げればコストも上がります。逆にここの部分で贅沢をしないことがコストダウンに繋がります。ホームエレベーターやジャグジーバスなどの高級設備や、トイレやバスルームの数が増えれば坪単価は上昇します。
3、造作家具工事
1、2のコストで住宅として完成もしますが、建築主の皆さんが多く希望されるのは製作家具の注文です。建築家と一緒につくるのであれば食器棚やTV台などの家具は一緒に設計し、造りつけの家具として住宅に設置したいとの要望が多くあります。製作家具は建築主さんの家族構成や背丈などを考慮しながら設計し造りますので、日常生活の快適さも上がり、空間になじんだデザインとなります。地震時の安全性も上がります。
住宅をつくるうえで、私たちとしてもここはしっかりと打合せし、なるべくオーナーさん家族にあった家具、統一感をもった空間を提供したいと思うところでもあります。
食器棚やTV台、下足入、棚などで一般的に1,000,000円以内というところです。建築主さんのコストが許せばこの部分を充実させることをお勧めします。逆に、この部分を今までの家具で対応する。又は安価な材料で割り切ってうまく造ることでコストダウンにもつながります。もちろん建築主さんが所有している家具に合わせ設計し、住宅をつくることも可能です。
4、外構工事
住宅をつくる際にアプローチや駐車場などを一緒に考えます。フェンスや駐車場舗装などの工事として、一般的に1,000,000以内程度です。敷地が広く舗装面積が多い場合などは、コストが上がります。既存の敷地にあるもので対応し、駐車場の舗装のみなどという場合はコストは下がります。
1~4の合算が建築工事に掛かるコストになります。
全て合算すると、21,250,000円程度 坪単価 約607,000円 となります。
この金額は工事請負会社側(工務店)に支払う工事金額になります。
一般的に言われる工事費坪○○円という金額はこちらの金額になります。
※鉄骨造の場合は1番の建築費を55~65万円/坪程度
鉄筋コンクリート(RC)造の場合は65~75万円程度でお考えください。
工事請負者(工務店)さんへの工事代金支払いのタイミングとしては契約時に1/3、上棟時に1/3、完成時に1/3という支払が一般的です。
住宅ローンの比率が高く、このタイミングで支払えない場合は工務店さんと相談し、2回払いなどで折り合いをつけ契約してしていきます。
◆設計監理費
当事務所が建築主さんと打合せを進め設計し、工事監理するコストになります。
21,250,000×12%=2,155,000 円
※鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造3階建ての場合は上記設計監理費以外に構造計算費がかかります。◆その他諸経費
◆その他諸経費
【設計時】
項目 | 解説 | 目安金額(円) |
---|---|---|
敷地測量 | 敷地測量図は土地を購入する際に不動産屋さんで用意している場合がほとんどです。土地を購入する際、不動産屋さんにお尋ねください。敷地測量図が無く境界杭がはっきりしている場合は建築主さんから隣地境界位置を教えていただき当事務所で敷地を測量し敷地求積図を作図します。 測量事務所に敷地測量図を外注しなくてはいけない場合は10~20万円程度でお考えください。 |
|
地盤調査 | 通常の建物ですとスウェーデン式サウンディング調査(S.S)を行います。 3.5~5万円程度 |
35,000 |
設計管理契約印紙代 | 200万円超300万円以下 :1千円 300万円超500万円以下 :2千円 |
1,000 |
確認申請手数料 | 確認申請は計画建物が法規や条例にあっているかの審査を審査期間に申請する手続きです。手数料は審査期間側へ支払う金額になります。 100㎡~200㎡: 22,000円 (千葉県建築住宅センター) |
22,000 |
【建築工事時】
項目 | 解説 | 目安金額(円) |
---|---|---|
地鎮祭 | 神主祝儀: 3~5万円程度 お供物: 5千円~1万円程度 |
50,000 |
上棟式 | 最近は省略することが多いのですが、一生に一度の住宅建築ですし、工事関係者(職人さん達)とコミュニケーションをとる良い機会ですので、作業終了後に皆で軽食などを食べ話をするのも良いのではないでしょうか? お弁当などの飲食費: 5万円程度 |
50,000 |
完了検査費 | 完了検査では検査機関側で確認申請通りに工事が行われているかを確認する検査で、費用は面積構造により異なります。 100㎡~200㎡: 28,000円 (千葉県建築住宅センター) |
28,000 |
工事請負契約印紙代 | 1千万円超5千万円以下: 20,000円 | 20,000 |
工事現場への差し入れ | 工事現場に立ち寄ったりする際に工事関係者に缶コーヒー又はお茶などを差し入れすることで職人さんたちとコミュニケーションを図り、一緒に住宅を建てているという感覚を持つことも重要なことだと思います。 合計1~3万円程度 |
20,000 |
【工事完了後】
項目 | 解説 | 目安金額(円) |
---|---|---|
建物表示登記 土地家屋調査士報酬 |
建物表示登記は新築した建物に関するデータを法務局に登記することです。 登録免許税は無税ですのでお金はかかりませんが、手続きを代行する土地家屋調査士への報酬が掛かってきます。 土地家屋調査士報酬:10~15万円程度 |
100,000 |
所有権保存登記 土地家屋調査士又は 司法書士報酬 |
所有権保存登記は建物の所有者が誰のものなのかを示すために法務局へ登記することです。手続き代行報酬として5万円程度の費用が掛かります。 登録免許税は建物評価額に所定の%を掛け算出します。住宅家屋証明書などで減税措置が受けられるような場合は1~3万円程度です。 |
60,000 |
不動産取得税 | 不動産を取得した場合に1度だけ課税される都道府県税です。 取得後60日以内に申告し、一定条件をクリアーしていれば特例措置があります。 |
15,000 |
引越し費用 | 引っ越し業者へお願いする費用です。規模などにより異なります。 ※ご自分で引越しされる方については費用はかかりません。 |
200,000 |
家具インテリア備品 | 家具やインテリア備品などについては好みもありますし、ピンからキリまであります。50~200万円程度。 通常カーテンの費用は工事に含まず建築主さんご自身にお願いしています。空間の広さやイメージに合わてご提案もいたしますので、是非ご相談ください。 ※所有している家具やカーテンで対応する場合は当然お金はかかりません。 |
800,000 |
固定資産税 | 土地や建物を所有している場合に毎年課税される市町村税です。 |
これまでに書いてきた費用を概略で説明しますと下記のようになります。
1、建築工事費 | 21,250,000 |
2、設計管理費 | 2,525,000 |
3、諸経費 設計時 | 58,000 |
4、 工事時 | 160,000 |
5、 工事完了後(家具なども含む) | 1,175,000 |
合計 | 25,168,000 |
例として挙げた木造住宅建築に関する総事業費として約719,000円/坪程度の金額がかかることになります。(消費税別途)
住宅価格には規模(床面積)と設備が大きく影響します。
一般的に言われているこの部屋は○○帖という平面的な広さ以外にも空間に広がりを持たせることはできます。重視したい空間には広さを持たせ、削ってもよい廊下などのスペースは動線を合理化し、極力省いていけば、ローコストでも良い住宅はできるかもしれません。また、平面的な広さが少なくても良い住宅はできます。予算配分や希望優先事項を考えながら規模を考えていきましょう。
価格だけみるとハウスメーカーなどと比べ高く感じるかもしれませんが、私どもの提案する住宅は一部のハウスメーカーさんが表示している「本体価格」というものではなく、工事金額で説明させていただきましたように、照明器具やエアコン、外構、造作家具などを含む金額で、カーテンやソファなどの置き家具、食器などの備品を持って来ればすぐに生活できる住宅がほとんどです。一部のハウスメーカーや工務店さんが表示している「本体価格」との単純な比較はできませんので、ご理解ください。
建築主さんの要望や敷地条件、コストに合わせ提案し一緒に作り上げていくことが私どもの役割ですので、ご家族の成長に合わせ、愛着をもって末永く使っていただけるような住宅をご提案させていただきたいと思います。
予算があまりないので・・・とあきらめる前に一度ご相談ください。限りある中で、一緒に理想の住宅をつくっていきましょう!